top of page

Shadow Work 2019

巷説昌福寺縁起参

【死神と黄金の足袋】

上演日:2019年8月14日

上演場所:昌福寺(山梨県)

作・演出:川村亘平斎

出演:川村亘平斎(影絵)若尾一輝(影絵)伊藤裕里子(ガムラン)大久保牧子(ガムラン)

 

 

あらすじ

 

 ある山間の村に、生まれつき片足の悪い七助という男が暮らしていました。七助は、不治の病に冒された妻「カジカ」救おうと、険しい山の頂にある普賢菩薩堂に御百度参りに行くことにしました。

 七助は不自由な足を引きずって、来る日も来る日も普賢菩薩にお参りに行きました。そのお参りもついに100日満願という日、七助が普賢菩薩堂につくと死神が現れました。死神はカジカの死を予言しましたが、七助がどうしてもカジカの命を救いたい、と言うと、七助の命と交換でカジカの命を救う方法を教えてくれました。七助は死神からもらった黄金の足袋をはき、どんな病でも治せるという聖水を探しに、山奥へと向かいました。

 山奥で聖水の泉を探す七助は、魔物に襲われて足を怪我した雌鹿に黄金の足袋を渡してしまいます。そこに現れた魔物に襲われ、崖に落ちてしまいました。

 谷底へ落ちてゆく七助の元に、普賢菩薩が現れました。普賢菩薩は七助を抱えるとそっと谷底に降ろしてくれました。なんとそこには、聖水の泉があるのでした。七助は、命を救ってくれた普賢菩薩に感謝し、聖水を持って急いで山を降りて行きました。

 ところが七助が家に着くと、カジカはもう息を引き取っていました。七助は、どうしてももう一度カジカに会いたい、と、死神に頼み、死後の世界へ向かうことにしました。

 

朝日が昇る前までに 

三途の川を渡れたならば 

きっとカジカに会えるだろう

 

朝日が昇る前までに 

三途の川を渡ってしまえば 

二度とこの世に戻れない

 

 もうすぐ三途の川を渡ると言う時、川向こうからカジカの魂が飛んでくるのが見えました。すると、七助の体は不思議な力で動かなくなってしまいました。

 

あなたと暮らせて幸せでした

 

 カジカはそう言うと、消えて行きました。七助が動けずにいると、東の空から朝日が昇り始めました。七助は三途の川を渡れずに、家に戻りました。その後七助は、カジカを弔いながら天寿を全うしたとのことです。

  • ホワイトFacebookのアイコン
  • ホワイトTwitterのアイコン
  • ホワイトInstagramのアイコン
bottom of page